2025.05.27
インプラント治療の費用内訳|仮歯の値段や骨造成の費用も解説
はじめに
今や一般的な治療方法になったインプラント治療。
しかし、「どのくらい費用がかかるのか?」「内訳がよくわからない」という疑問を持つ人は少なくないでしょう。インプラント治療の一本当たりの費用相場や内訳について、詳しく説明していきます。
特に、治療の過程で必要になることがある「仮歯」や、骨が足りない場合に行う「骨造成」の費用について気になる方も多いのではないでしょうか。この記事では、それらの費用も含めたインプラント治療の全体像を分かりやすく解説します。

そもそもインプラント治療とは?
はじめに「インプラント」という言葉を理解しましょう。
インプラントは、歯がなくなったところに、人工の歯根を埋め込み、その上にセラミック冠(白い歯)などを装着する治療方法です。
大人が歯を失ったとき、それを補うための一つの方法です。
インプラントはとても自然な見た目をしていて、本物の歯とほとんど変わらない食べ心地を得られるのが特徴です。
インプラント治療の費用相場
インプラント治療の費用は、クリニックや地域、使用するインプラントの種類などによって大きく異なります。しかし、一般的な相場としては、一本当たり40万円〜50万円程度が目安とされています。これには、インプラント本体の費用、手術費(症例によっては追加で骨造成費用がかかります)、診察費、放射線診断(レントゲンやCT)費、仮歯や人工歯の製作費などが含まれています。
インプラント治療が高額な理由
インプラント治療の費用が高額な理由の一つには、この治療が必要とする高度な技術と専門的な知識が挙げられます。
歯科医師がインプラント手術を行うには、骨に直接インプラントを埋め込む技術と、それを支える口腔内の状態を適切に診断し、適切な位置にインプラントを設置するための専門的な知識が必要です。
また、インプラントは体内に長期間埋め込むものであるため、生体親和性が高く、安全で耐久性のある高品質な材料が用いられます。これらの材料費や、手術に必要な特殊な設備・器具のコストも費用に含まれます。さらに、インプラント治療は自由診療であり、公的医療保険が適用されないため、全額自己負担となることも高額になる理由の一つです。

インプラント治療の内訳
インプラント治療は、いくつかのステップに分かれており、それぞれに費用が発生します。
以下に、当院における各項目の費用内訳(全て税込)を説明しますので、治療計画を立てる際の参考にしてみてください。
①審査診断用のCT撮影費用:11,000円
インプラントの埋入手術を安全で確実に行うためには、埋入部位の骨の量や骨質の診断が重要です。また、場所によっては血管や神経など傷つけてはいけない物も沢山あります。確実で安全な施術とその確認のために、何度かの撮影を行います。一連の治療に際しての必要なCT撮影は、複数回必要です。当院では複数回であっても追加費用は頂きません。
②骨造成(GBR・サイナスリフト等)費用:55,000円・110,000円・165,000円
インプラントを埋め込むためには、十分な量の顎の骨が必要です。しかし、歯周病が進行していたり、歯が抜けてから時間が経っていたりすると、骨が痩せてしまい、インプラントを支えるのに十分な量がない場合があります。そのような場合に、骨の量を増やすための手術が「骨造成」です。
その範囲や増やす量によって3段階の分類をしています。
当然、骨の量が十分にある場合や、骨造成を行わずにインプラント治療を進める場合は、この費用は発生しません。
▼骨造成の種類と費用の目安
骨造成にはいくつかの方法があります。代表的なものとして「GBR法」と「サイナスリフト」があります。
- GBR(Guided Bone Regeneration:骨誘導再生)法
- 骨が不足している部分を特殊な膜で覆い、骨を作るスペースを確保して骨の再生を促す方法です。主に骨の高さや幅が足りない場合に用いられます。
- サイナスリフト
- 上顎の奥歯の上には「上顎洞(サイナス)」という空洞があります。この部分の骨が薄い場合に、上顎洞の底を持ち上げてスペースを作り、そこに骨補填材を入れて骨の厚みを増やす方法です。
これらの骨造成手術は、インプラント手術と同時に行う場合と、骨造成を先に行い、骨ができるのを待ってからインプラント手術を行う場合があります。どちらの方法を選択するか、またどの程度の範囲・量の骨造成が必要かによって費用が変わってきます。当院では、状態に応じて55,000円、110,000円、165,000円のいずれかの費用となります。カウンセリング時に、なぜ骨造成が必要なのか、どの方法で行うのか、費用はいくらになるのかを詳しくご説明します。
③インプラント埋入手術費用:242,000円
埋入するインプラント体と手術費用になります。
④2次手術
埋入されているインプラントを露出させ、使用できる状態にする為の手術になります。
⑤インプラント用仮歯(プロビジョナル レストレーション)費用:16,500円
費用:165,00円
インプラント手術後、インプラント体と骨がしっかりと結合するまでの期間(通常数ヶ月)や、最終的な被せ物が入るまでの間、見た目や機能を補うために入れる仮の歯のことです。
基本的には、1本のインプラント体に1つの仮歯が必要になります。
但し、3本抜けたところ(3歯欠損)に2本のインプラントでブリッジのように治療する場合には、インプラントが入っていない真ん中の部分は、通常のブリッジの仮歯と同じ料金(1歯:3,300円)が適用されます。
▼インプラント治療における仮歯の値段と重要性
インプラント治療において、仮歯は「仮の歯」以上の重要な役割を担っています。下記のように重要な役割を持つため、インプラント用の仮歯には一定の費用がかかります。
- 見た目の維持
- 特に前歯の場合、歯がない状態だと見た目が気になるため、仮歯を入れることで自然な口元を保つことができます。
- 機能性の維持
- 食事や会話がしやすくなります。
- 歯ぐきの形成
- 最終的な被せ物が入ったときに、自然で健康的な歯ぐきのラインを作るための役割を果たします。
- 噛み合わせの安定
- 周囲の歯が動いたり、対合する歯が伸びてきたりするのを防ぎます。
⑥インプラント用最終的な被せ(ファイナル レストレーション)費用:154,000円
インプラントと骨が結合した後、最終的に装着する人工の歯(被せ物)の費用です。
当院では、見た目が自然で強度も高いセラミック製の被せ物を標準としています。
被せ物をインプラント体に取り付ける方法には、ネジで固定する「ネジ止め式」と、セメントで接着する「セメント固定式」がありますが、どちらの方法でも費用は同じです。
基本的には、1本のインプラント体に1つの被せ物が必要になります。
但し、3本抜けたところに2本のインプラントでブリッジのように治療する場合には、インプラントが入っていない真ん中の歯の部分は、通常のセラミック冠の料金(1歯:110,000円)が適用されます。
⑦メインテナンス費用
インプラントを長持ちさせるためには、治療後の定期的なメインテナンスが非常に重要です。
通常、メインテナンスはご自身の他の残っている歯(残存歯)のチェックやクリーニングと一緒に行います。
インプラントに特段の問題がない限り、通常の定期健診の範囲内で行うため、当院では追加の費用は頂いておりません。
但し、お口の中の歯が全てインプラントの場合は、インプラントの清掃管理として1回につき11,000円が必要になります。
また、メインテナンス時にインプラントの部品(ネジの緩みや摩耗したパーツなど)の交換が必要になった場合は、別途部品代の実費が追加されます。

まとめ
以上のように、インプラント治療の費用は、手術費用、インプラント部材、付属治療、アフターケアというさまざまな要素から構成されています。
その費用は一見高額に見えますが、その背景には専門的な技術、高品質な材料、時間と手間が含まれています。
インプラント治療は高価な投資であることは間違いありませんが、それは歯の機能性と美観を長期間維持するための投資でもあります。自分自身の健康や生活の質を高めるための投資であり、その価値を理解することが重要です。
また、インプラント治療の費用や骨造成の要否、仮歯の必要性などは、患者様のお口の状態によって異なります。治療を受ける前には、必ず担当の歯科医師から詳しい費用内訳や治療計画について説明を受け、十分に理解・納得することが大切です。不明な点や不安なことがあれば、遠慮なく医師に質問し、疑問を解消しましょう。
さらに、費用の面で一括での支払いが難しい場合は、デンタルローンによる分割払いといった支払い方法も検討してみてください。当院でもご相談に応じておりますので、お気軽にお声がけください。
最後に、インプラント治療は歯を失った人々にとって、生活の質を大幅に向上させる可能性があります。そのため、費用だけでなく、その恩恵についても考えてみてください。
今回は、インプラント治療の費用内訳について詳しく解説しました。
参考になりましたら幸いです。