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歯周病の治療

歯周病について

歯周病は、歯の周りの組織が炎症を起こす慢性的な病気です。ヒトの口腔内には約340種類程度の菌が存在しており、中でも歯垢や歯石に含まれる細菌が原因となり、歯肉や歯を支える骨が徐々に破壊されていきます。初期段階では自覚症状がほとんどなく、歯肉炎として軽微な出血や腫れだけで留まることが多いですが、適切な治療を受けずに放置すると歯周炎へと進行し、最終的には歯を失うリスクがあります。

当院の歯周病治療への取り組み

当院は、歯周病治療において予防とメンテナンスを重視し、患者様が健康な口腔状態を長く維持できるようサポートします。まず、定期的な検診を通じて歯周病の早期発見に努めています。また、患者様一人ひとりの症状や生活習慣に合わせた治療方法を提案し、長期的なケアができるように指導も行います。歯周病が進行している場合でも、当院では歯周外科治療や再生療法など、歯周組織の再生を目指す治療も提供しています。

歯周病の治療方法

歯周病治療は4つのステップがあります。

  • 歯周ポケット内の汚れ除去

    初期の治療として、歯周ポケット内に蓄積した歯垢や歯石を除去します。これにより、歯周ポケットの深さを減少させ、炎症を抑えます。

  • 歯周ポケットの減少を目的とする手術

    歯周病が進行している場合、手術が必要になることがあります。この治療では、歯周ポケットを縮小するために歯茎を切開し、深部に溜まった歯石や細菌を取り除きます。

  • 再生治療

    歯周病により失われた骨や組織を再生させるため、特殊な膜や骨補填材(骨再生に用いられる材料)を使用することがあります。これにより、歯を支える組織を回復させることが可能です。

  • メンテナンス治療

    治療が終了した後も、定期的な検診とクリーニングを行うことで、歯周病の再発を防ぎます。

歯周病の直接的原因

歯周病の主な直接的原因は、口腔内に蓄積する「歯垢(プラーク)」です。歯垢は細菌の塊であり、適切なブラッシングが行われないと、歯垢が硬化して「歯石」になります。この歯石が歯肉の下に入り込むことで炎症を引き起こし、歯周病の原因となります。特に歯と歯肉の間にできる歯周ポケット内で細菌が繁殖し、炎症が深刻化することで、歯を支える骨が次第に破壊されます。

歯周病の間接的原因

歯周病を発症させる間接的な要因として、以下のような生活習慣や全身の健康状態も影響します。

  • 喫煙
    喫煙は歯周病の最大のリスク要因の一つです。タバコに含まれる有害物質が歯茎の血行を悪化させ、免疫力を低下させるため、歯周病が進行しやすくなります。
  • 糖尿病
    エ糖尿病患者は、細菌に対する免疫反応が低下するため、歯周病にかかりやすくなります。また、歯周病が糖尿病の管理に悪影響を及ぼすことも報告されています。
  • ストレス
    ストレスは、免疫反応の低下に繋がる原因となるため、歯周病の進行を加速させる可能性があります
  • 不規則な食生活
    ビタミンCやカルシウムなど、歯や歯肉の健康を維持するための栄養素が不足していると、歯周病リスクが高まります。

歯周病の痛み・症状

歯周病は、初期段階では痛みがほとんどありませんが、次第に以下の症状が現れます。

  • 歯茎の腫れや出血
    特に歯磨き中や食事中に出血が見られることがあります。
  • 口臭の悪化
    歯周病により細菌が繁殖し、臭いが発生することが多くなります。((胃の病気でも臭いが発生することがあります。その場合は専門医の診断を受ける必要がございます。
  • 歯のぐらつき
    歯を支える骨が失われると、歯がぐらつきやすくなります。
  • 歯茎の縮小
    歯茎が後退し、歯が長く見えるようになることがあります。

歯周病が進行するリスク

歯周病を放置すると、以下のような深刻なリスクが生じます。
口腔内の問題だけでなく、全身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。

歯の喪失

歯周病が進行すると、歯を支える骨が破壊され、歯が抜け落ちる可能性があります。

全身疾患への影響

歯周病菌が血流に入り込むことで、動脈硬化、心臓発作、脳卒中、糖尿病などの全身疾患のリスクが高まります。また、歯周病の細菌が肺に入ることで、肺炎や慢性閉塞性肺疾患(COPD)のリスクが高まることがあります。

歯周病ができやすい場所

歯周病は、特に次のような場所で発症しやすくなります。

  • 奥歯
    奥歯は歯磨きが行き届きにくく、歯垢や歯石が溜まりやすいため、歯周病のリスクが高くなります。
  • 歯と歯の間
    歯間ブラシやデンタルフロスを使用しない場合、歯と歯の間に食べ物のカスや歯垢が残り、炎症を引き起こしやすくなります。
  • 歯並びが悪い場所
    歯が重なっている部分や歯並びが乱れている箇所は、歯ブラシが届きにくく、歯周病菌が溜まりやすいです。

歯周病の予防方法

歯周病は、日々の口腔ケアと生活習慣の改善によって予防できます。当院では、次の3つのステップを推奨しています。

  • 毎日の歯磨きと歯間ブラシ・フロスの使用

    歯周病予防の基本は、毎日の適切なブラッシングとフロスの使用です。歯と歯茎の境目に沿って、歯ブラシを45度の角度で当てることで、歯垢を効果的に除去できます。また、歯と歯の間に残った食べカスや歯垢はデンタルフロスや歯間ブラシを使用して取り除きましょう。就寝中は唾液の分泌が減り、細菌が増えやすいため、特に寝る前のケアが重要です。

  • 定期的な歯科検診

    日常的なセルフケアに加え、歯科医院での定期的な検診が歯周病予防には不可欠です。少なくとも年に2回のクリーニングを受けることで、日常の歯磨きでは取りきれない歯石やプラークを除去でき、歯周病の早期発見につながります。また、歯周病の進行度に応じて、3〜4ヶ月ごとの検診が推奨されることもあります。

  • 健康的な生活習慣の維持

    歯周病予防には、健康的な生活習慣の維持も重要です。特に、禁煙、バランスの取れた食事、ストレスをためない習慣(適切な睡眠、運動など)を意識することが大切です。食事面では、ビタミンCやカルシウムなどの歯茎や歯を健康に保つ栄養素はもちろん、抗酸化作用のあるフルーツや野菜を積極的に取り入れることも有効です。

歯周病の予防には、毎日の口腔ケアと定期的な歯科検診が不可欠です。長期的な口腔の健康を維持するためには、生活習慣の見直しと、専門的なケアの両方が重要となります。歯周病が進行する前に、早めに予防対策を始めることが、健康な歯と歯茎を守るための最善策です。